美女と竹林



美女と竹林 森見 登美彦 (著)

美女と同等に竹林を愛する著者が、その愛を形にするために、竹の伐採を始める。、、はずが、執筆とそれにまつわる諸々の多忙のため、手入れは遅々として進まない。そんな竹林に対する恋慕と、締め切りに追われる日々を綴ったエッセイ。

「恋文の技術」の評で、森見氏には学生時代に盟友(悪友)がいたのではなかろうか?というような事を書きましたが、この本に登場する明石さんが、そうなんでしょうね。社会人になり、お互い別の道を歩んでいても、再開すればまるで学生に戻ったように話ができる。そういう友人はいいもんです。

竹林の事が漠然と好きだった著者は、竹を分解してみたり、茶筅作りを研究する事で、竹の魅力を探しますが、答えは見つかりません。結局、部分に分けてみても本質はつかめず、好きな物は好き、という結論に至ります。
「恋文の技術」では、これが女性に対する気持ちとして登場します。書かれた時期も近いので、このエッセイも小説の肥しになったのだろうと想像します。

書き手の視点が、森見氏ではない第三者に置かれているのも面白い点です。氏のブログと同じ形式ですね。他人事のような語りが、それだけでユーモアに繋がっていると思いました。




単行本: 296ページ
出版社: 光文社 (2008/8/21)
発売日: 2008/8/21

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